悪い姿勢が首や肩甲骨周りの筋肉に負担をかけることはご存じだと思います。
この負荷は、首の傾きによって頭の重さの負荷が違ってくることに関係しています。
人間の頭は、頭の小さい人でも4~5㎏、頭の大きい人で8~10㎏あると言われています。
この頭を支えているのが首や背中の筋肉などの組織です。
本来、首の骨は頭の重さを分散させるため、前方にカーブするように曲がり、しなるようになっています。
全体的に見ると背骨はS字カーブを描いており、頭と体の重心が保たれて安定します。
つまり、首や背中への負荷が少なくなります。
S字カーブが崩れた悪い姿勢だと、首の傾きが生じてきます。
それは傾きの大きさに比例して、首や背中への負担も大きくなります。
少し例を出してみましょう。
まず、正しい姿勢の場合、傾き0度ですので4~6㎏の負担です。
次に傾き15度の場合、12㎏の負担が首や背中にかかります。
もうすでに二倍以上ですね。
そして、傾き30度の場合、18㎏の負荷になります。
かなりの負荷です。
傾き45度ではどうでしょうか。
なんと、22㎏の負荷です。
首や背中への負担はかなり大きいですね。
最後に傾き90度では、27㎏の負荷となります。
このことから、長時間のうつむいた姿勢は、首や背中に大きな負担をかけることが分かります。
近年、スマホの普及により、長時間のうつむいた姿勢をとることが多くなりました。
その影響により、首や背中の筋肉に負担が大きくかかってしまい、肩こりなどの症状を引き起こす原因になっています。
もちろん、1日、2日で慢性的な肩こりなどになるわけではありません。
長期的にうつむいた姿勢を取り続けることで姿勢が悪くなり、その習慣が身につくと、他の動作時にも影響してきます。
そうなると総合的に首を傾けた姿勢になってしまい、背中が丸く猫背のようになってしまいます。
それが固定化して、動き自体が小さくなってくると、慢性的な肩こり症状などに悩まされることになります。
この状態を、そのままにしておいても良いことは絶対ありません。
肩こりの症状が少しでもあるなら、姿勢を正すことが必要になります。
胴体の上にちゃんとした位置に首がくるような姿勢に戻し、潤滑な動きのある体に戻ること。
見た目だけ戻っても仕方ありません。
体の動きも戻らなければ意味がありません。
だから、見た目の姿勢と体の動きの両方の変化が必要。
つまり、体が軽く楽になっていることを実感できなければなりません。
じゃあ、どこをどうすれば楽になるのか?
そのヒントは、体の前側にあると思ってください。
体の前側!?って思うかもしれませんが、これがホントに重要。
首が傾いているんだから首の後ろの筋肉をマッサージするとか、背中が凝っているから背中の筋肉をマッサージしようと、いきなり思わないでください。
まずは、縮んで詰まってしまった体の前面を解放してやることです。
首筋前面から胸郭前面、お腹、太もも等にかけて解きほぐしてあげてください。
どうしても症状が後ろ側にあるせいで、体の後ろばかり触ってしまいがちですがダメです。
体には前もあって、前と後ろは関係性があります。
それを無視しては体は成り立ちません。
体のつながりと関係性を理解した時、はじめて体が楽になる方向が分かります。
行き当たりばったりの体操や治療では、上手くいかないどころか、直ぐまた症状は戻ってきます。
きちんと、体を物理的に理解した上で体操なり、治療をやれば、適当にやるよりは随分違ったものになります。
ぜひ、このことを参考にして、明日から正しい姿勢と肩こりのない人生を手に入れてください。
おしまい、、、